ようやく、か、いまさら、か

■「世界初のPalm腕時計」、Fossilから発売ITmedia
発表から約二年半を経て、ようやく発売。しかもスペックは当初発表のほとんどそのまま。Palm OS4.1、160×160ドットモノクロ16階調液晶、メモリ8MBとなるとだいたいPalm m500と同じレベルのスペックで、当初発表時点ですでに約一年前の機種のレベルだったものをさらに二年以上たってからようやく出して来たことになる。
最新機種には最新の機能を盛り込まなければいけないという発想からだと、この製品は明らかに時代遅れ、周回遅れの製品ということになる。しかし、私はこれはこれでいいと思うのだ。
この製品のライバルは何か、と考えてみる。すると、おそらくそれは「腕時計」ということになるだろう。店頭に並べられる場所も、PC売り場の横や携帯電話のわきではなく、「時計屋のウインドウの中」だろう。
腕時計を買うとき、人がそれに期待するものは何か。インターネットへのアクセス機能ではないだろう。音楽や動画の再生機能ではないだろう。あれもこれもと山盛りの最新機能では、必ずしもないだろう。何よりも「時刻を知る」という機能であり、次にファッション性であろう。
つまり、腕時計に求められる機能性とは「単純性」であるといえる。できないものはできない。そのかわり、できることは確実にできる。
これは、Palmの当初の開発理念と重なるではないか。Palmが追求しようとしたところを突き詰めていったところ、腕時計型というところに行き着いたといえなくはないか。
スペック的に時代遅れといえなくはないが、私はPDAに必要充分な機能はこのスペックで十分満たされているのではないかと考える。現に私はいまだにm130を使っているがほとんど不満は感じていない。(ちょっとグラフィティエリアの認識が悪くなって来たような気がする程度だ。)これ以上のスペックは、いうなれば「充実したおまけ」というべきではないだろうか。
この製品で一つ不満といえる点があるとすれば、バッテリー駆動時間が約四日と短いということだ。ライバルが腕時計なら、この時間は余りにも短い。もっとも時計とPDAでは基本的な電力消費量が比較にならないのだからやむを得ないかもしれないが、もう少しがんばってほしかったものだ。
日本語化に関しては、小さい画面用にかなりOSレベルでチューンアップされているようなので、現行のソフトではおそらく対応しきれないのではないだろうか。技術的に可能なのか、可能だとしても実用性があるのかどうかはわからない。
その製品はマニアのおもちゃにはもってこいだが、おもちゃ扱いにとどめるには惜しいポテンシャルを秘めていると思う。
実は、もう一つ注目している点がある。Wrist PDAMac対応を公式にうたっているのだ。palmOne以外のメーカーから公式にMacに対応したPDAが出るのは、結構久しぶりではないか?