球場に連れていって

テレビでメジャーリーグを扱ったドキュメンタリーを見ているが、なぜか日本の野球よりもずっと生き生きしていて、選手もファンもずっと楽しそうだ。私自身、自分でもどうかと思うが結構熱狂的なファンだったりして、試合を楽しむ、プレイを楽しむというよりは何か戦争でもしているようなぎちぎちした感じで野球を見ていることが多い。だから勝ったときの喜びは大きいが、負けたときは(ついでに嫌いなチームが勝ったりすると)ひどく落ち込んだりする。「たかが娯楽じゃないか」とは理性的に思うのだが、どうも感情面はそう割り切れないのだなあ。
私の好きな野球漫画に、川原泉の「メイプル戦記」がある。その中のワンシーンに、明日勝てばリーグ優勝という試合の前日に、監督が一人そっと「Take me out to the ball game」を口ずさんでいるシーンがある。このシーンを思い出すたびに、なんてことないシーンなのだがなぜか涙がでそうになるのだ。勝ち負けをはるかに超越して、楽しい、すばらしい試合をすることを夢見る思いが、その歌に込められているように思うのだ。