比較は思考の基本。
某オーナーが「たかが」云々という発言をしたというニュースがあったので、その発言を各社がどう伝えているかをちょっと拾ってみた。なお、記載順に他意はなく単に五十音順である。
朝日新聞
「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかん。たかが選手が。立派な選手もいるけど。オーナーと対等に話をする協約上の根拠はひとつもない」
産經新聞(当該発言記載なし)
「どうぞ、どうぞ、やったらいい」
「無礼なことを言うな。分をわきまえなきゃいかんよ、たかが選手が。立派な選手もいるけどね。オーナーと対等に話をする協約上の根拠は一つもない」
讀賣新聞(記載なし)
続いて各スポーツ紙。
サンケイスポーツ
「無礼なことを言うな。分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が。たかが選手だって、立派な選手もいるけどね。オーナーと対等で話す協約上の根拠はひとつもない」
「ふっふっ。無礼なこと言うな。度をわきまえにゃいかんよ、無礼な。たかが選手が。たかが選手といっても立派な選手もいるけどね。まあ、オーナーとね、対等に話す協約上の根拠は1つもない」
「無礼なことを言うな!分をわきまえないといかん」と声を荒らげた。
「たかが選手が!」とののしるほど。これにはさすがに「立派な選手もいるがな」とフォローはしたが、その後も言いたい放題で「(選手が)オーナーと対等で話す協約上の根拠は一つもない」と、野球協約を振りかざして突っぱねた。
「フッ、無礼なことを言うな。分をわきまえにゃいかんよ、たかが選手が」。さらに「(選手が)オーナーと対等に話をする、協約上の根拠は1つもない」。語気を強めて、追い打ちをかけた。
東京スポーツ(Web上に記事なし)
渡辺オーナーも古田に暴言
道新スポーツ(Web上に記事なし)
「無礼なことを言うなっ」
「分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が。たかがといっても、立派な選手もいるけどね。オーナーと対等に話をするなんて協約上根拠は1つもないよ」
報知新聞(当該発言記載なし)
「どうぞ、どうぞ、やったらいい」
「無礼なことをいうな。分をわきまえなきゃいかんよ、たかが選手が。たかが選手でも、立派な選手もいるけどね。(選手が)オーナーと対等に話ができるという協約上の根拠はひとつもないよ」
だいたい各社とも、ニュアンスに若干の差はあるものの発言の内容についてはほぼ同一と見ることが出来る。(スポニチの「度をわきまえろ」は単なる書き間違いか?)ただ取り上げ方にはいささかの振幅が見られ、選手会がストライキを検討しているという流れでの報道と、某オーナーの発言を問題視する報道とに大きく分けることが出来よう。
だが大変興味深いことに、ある新聞社系の報道にのみ、この発言が全く黙殺されているのである。その新聞の読者は、この件について考える機会を失うことになるわけだ。あるいは、その新聞社が「この件については考えるな」と暗に主張しているとも勘ぐれる。ま、これは下司の勘ぐりというやつだろう。公器であり社会の木鐸を自認する新聞メディアがそのような行動に出るはずはないのである(棒読み)。
この発言に対する各メディアの「評価」も、比較するとなかなか面白い。ZAKZAKは渡辺オーナーは先の古田バカ呼ばわりに続いてどこまでも強気。この姿勢には批判も多々あろうが、組織の変革にはこのくらいの迫力が必要なのかもしれない。
と、ややプラス評価ともとれる締め。中日スポーツは経営者の立場をむき出しにして、労働者の要求には耳を傾けない姿勢をあらわにした。
と、労使対決の色を押し出している。
で、この件に対する私個人としての意見だが、これはもう「何様のつもりだお前」の一言である。